車検に合格しても、最善のブレーキとは言えない

一般的な乗用車(軽、小型、普通)を例にします。

1:道路運送車両の保安基準では
 制動装置 保安基準 第12条で
制動距離に対する基準と計算式が有ります。
計算結果だけですが、
制動初速度60kmの時、36.72m
制動初速度120kmの時、157.68m
となりました。
車検では、この数字に見合う回転力をローラー上でタイヤに加え
タイヤが回らなければ合格となります。

一方、
交通事故の場合などは別の計算式が有ります。
制動初速度(m/秒)の2乗/2*9.8*摩擦係数)です。
工業力学の公式から計算された、最善(最短)の数値です。
計算式は他のところで説明します。
制動初速度の単位の違いに気をつけて下さい。

工業力学から計算しますと
制動初速度を時速60km(16.67m/秒)の時20.25m
制動初速度を時速120km(33.33m/秒)の時80.99m
となります。
車検の方の、基準が低いことが解ります。
つまり、車検に合格したから、ブレーキが「最善の状態」とはなりません。
しかし、国家資格を持つ整備士は、2年後の車検までどうなるかを考え、
お客様に、「ブレーキ修理した方が良いですよ」と言います。
何故でしょう。
毎日、いろんなお客様のブレーキを見ているからです。